KUALIS

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November 20, 2014

Builder's life 7

Builder's life 7/ process improvement

溶接三昧の日々が続いて、かれこれ3年ほどたったある日のこと。
マネジャーからいくつかのリスポンシビリティーを言い渡された。

その中にリペアフレームのマネージメントと生産工程の改善(プロセスの面とプロダクツの面の両方)があった。今日はその2点についての自分の体験である。

なぜ自分にその責任がきたかといえば、Sevenでの生産プロセスを一通り経験して知っているのが自分だけだったことが理由の一つである。マネジャー自身もマシーニングと仕上げの経験はあるが溶接はよく知らない。突っ込んだ見解には限界があるというのもあったのかもしれない。

まずリペアフレームに関してであるが、Seven では年間1500台前後フレーム生産している。そうすると戻り(不具合や再仕上など)のフレームもそれなりにあった。実質、リペアフレーム用のラックが0になることはまれなくらいであった。
要するに自分の責任は、そのリペアフレームが入ってきてから期日内にシッピングするまでをマネージしろということであった。

最初はあまり気が進まなかったが、しかし考えてみればSeven のフレームの実際的な場面での改良すべき点が詳細に見れるのではないかと思い、逆にやる気で引き受けた。
当時、リペアフレームで一番多かったのはMTB のダウンチューブとヘッドチューブ の間に溶接されたガセットとダウンチューブとの溶接部分にクラックが入ったものであった。フレームが適度にしなろうとしているのに対し、剛性を上げようとガセットをHT とDT の間にかませるため使用し続けて無理が生じ最終的にクラックが入るといった具合である。(*現在はガセットの使用はしていない)
リペア方法としてはDT とHT をカットし、リプレイスするという具合である。
その他、カーボンとチタン混合のフレームの接着不良や使用年数が原因で劣化による不具合、錆びによる劣化や穴が開く(スティール)、クラッシュ、製作ミスによるカスタマーからのクレームなどなどであった。

こういった不具合のあるフレームをそれぞれインスペクションし、原因を突きとめ、どう対処するか、リペアにかかる所要時間はどのくらいか、また通常の新規フレーム製作の流れの中でどのタイミングでリペア作業を行うか、そしてそれらの指示書を作成し、いつ誰に指示を出してリペア作業をやってもらうかなど、シッピング期日から逆算して計画をたてマネージメントに臨んだ。 時には計画通りにいかない場合も当然あった。そんな場合は自分でそのすべての工程をこなしていた。もちろんこのマネージメントは普段の溶接ノルマを消化しながらである。最終的に約1年近く続けた。

しかしながらこの経験は非常に自分にとって良かったと思っている。まわりの人たちはあまり気を留めないことだったが、実際のリペアフレームを通してチタンとスティールの素材でフレームを作る場合の限界線や、やってはいけないこと細心の注意を払わなければならないことなどを個人的に学ぶことができた。ここでの経験は今の自分のフレームつくりにも役立っている。

次に生産プロセスの改善についてだが、Seven はトヨタ生産方式をベースに生産プロセスをビルドしていた。個人的に生産プロセスについてはトヨタ生産方式をはじめいろいろと研究していたのでSeven のそういった生産プロセスに関するフィロソフィーもすぐに理解できたのも事実である。

そういったものと実際の現場を通してそれらがどのように機能しているのかを観察しながら、具体的な改善方法やその可能性についてなど考える日が続いた。
しばらくSeven の生産方式と実際のワーカー達の働き方を観察していると、少しづつ問題点など見えるようになってきた。
例えばその一つに、ミステイクの発生の仕方とその度合いである。そしてその原因について考えてみるとよりはっきりと浮かび上がってきた。
例えばトヨタプロダクションシステムの根本理念の一つは、それぞれ異なるデパートメントで仕事をしているワーカー同士が協力し合い、時にはクロスセクションでも機能できるという働き方にある。お互いの仕事を理解することで、協力的な仕事ができるだけでなくミステイクも最小限におさえることができる。しかしSeven ではそれぞれで分業はしているがお互いがクロスすることはなく完全縦割り(この部分はアメリカ式)分業方式であった。隣で行っている仕事についてはよく知らないといった具合である。だから例えば最初のほうで一度ミステイクが起きてしまうと最後まで誰も気づかないでプロダクツが流れてしまう。仮に最後に気づいた場合、ヘビーなやり直し(一から)になってしまう。。。

こういったことを改善するための手段やワーカーの働き方、チームワークについて、また新しいワーカーが入った際のトレーニング内容の範囲についてなどを最終的にレポートとしてまとめて提出した。

以下の写真はレポートの一部


これらの発案が受け入れられるかどうかは分からなかった。しかしその約半年後、発案のいくつかが実際に機能し始めた。
このリペアフレームのマネージメントとプロセス改善の責任を機にさらにいくつかのプロセス改善や問題解決の仕事が追加されることになるのだが、それらに関しては、、、次回。

つづく。。。



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