KUALIS

KUALIS

November 05, 2012

Tubing


次の製作開始まで少し時間が空くので、今日はチュービングの話を少し。
KUALIS で使用するメインチューブは基本的に、スティール、チタン共に正円状のものを選択している。それには理由がある。
まず、フレーム全体に伝わる力の伝動がスムーズで自然であるからである。癖が少なく素直で扱いやすいフレームができる。
例えばDT のHT 側を縦オーバルにつぶし、BB 側を横オーバルにつぶすことで確かにねじれに対する剛性は多少上がる。しかしそれは裏を返せば、チューブ上に余計な負荷がかかる部分が出てくることになる。スティールの場合は特に問題なしであるが、チタンで稀にクラックが入る場合がある。その部分に無理が生じている一つの証拠である。 だからKUALISのフレーム剛性は基本的にチューブ自体の径と厚さで調整するようにしている。
チタンの場合、CS もオーバル、あるいはテーパー状のものも使用していない。テーパー加工というのは、ストレートのチューブを熱し、ローラーの中に通してグリグリつぶして圧縮されてできる。(スティールも同じ)このテーパー状になったCS (チタン)、意外と要注意。クラックが入る事が稀にある。(つい最近、バイク用チタンチューブを出している某大手アメリカのサプライヤーのテーパードCSを溶接中にクラックが入った。もちろん全てのものがこうなるという事ではない。むしろ稀であるかもしれない。)
大元のチタンチューブメーカーが純正で圧縮、くりぬきによって出来たピュアなストレートのシームレスチタンチューブに第二のメーカーが後からさらに熱を加え、テーパー加工するという過程でチューブの組成に無理が生じるということだろう。(CSのつぶしは少し話が異なる。)
 
レイノルズが出しているダブルバテッドチタンチューブもストレート状のものを中を削って作られるためよく見ると、チューブ内部がそのときに生じる熱で少し青くなっているものもある(青いろのひどいものはコンターミネーションとよばれる。それは使用不可)。使用する前にビルダーによってチェックされる必要がある。それ以外にも注意すべき点はいくつもある。
チタンフレームの製作には、正しい知識、技術、経験などが必要不可欠になる。単にスティールの溶接ができるからというだけの理由でチタンも、、、とは簡単にはいかない。
大量生産方式で作られるチタンフレームや中国で作られるチタンフレームのチュービング、製作過程、品質管理がどのようなものなのか一度見てみたい気がする。

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