KUALIS

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November 25, 2014

Builder's life 8

Builder's Life 8/ プロセスインプルーブメント2

Seven のプロダクションプロセスの改善とリペアフレームのマネージメントについては前回ポストしたが今日は、それらよりさかのぼること2年ほど前に行ったプロダクトの問題にかかわった時の経験である。

その中でステムに生じた問題について少し書いてみる。ステムを溶接する際に仮つけをするとかならずと言っていいほどステムのクランプ(ハンドル側とフォーク側)にねじれが生じていた。溶接する前のアライメントチェックでそれはすでに起こっていた。ヘッドウェルダーのティムはなぜいつもねじれているのか疑問に思っていたようではあったが、他のウェルダーたちは特に気にすることなく溶接をし溶接後にねじれを強制していた。
自分がステム溶接を始めたときにはすでに何年もその状態で行っていたようだった。

そこで、まずステムをザグり加工するための冶具を調べてみようと試みた。
一見するとなんの問題もないようではあったし、実際ベテランマシーニスト(8年目)に聞いてもみたがやはり問題ないという返事がかえってきた。しかし問題の原因はこの機械加工の段階でおこっているとしか考えられなかったので、誰もいない時を見計らってその冶具と加工プロセスを徹底的に分析してみた。

その結果、原因とみられる点が見つかった。以下の写真はそれを含めたその時のレポートの一部である。あまり詳細にすべてのレポートは見せられないのであくまで一部にとどめておく。


その問題部分というのはわかってしまえば何でもないことですぐに修正できたのだが、もっと大きな問題はなぜ誰も、しかも何年も原因を突き止められなかったのかということである。これには前回のポストの内容が大きくからんでくる。確かに自分がマシーニストをしていた時には気づかなかった。なぜならそれ以外の仕事はまだ未体験だったからである。

ステムに限らず、フレームのほうでも角度があっていなかったり、ねじれた状態でザグり加工されていたり、ギャップが許容値外だったりと問題は続いた。これらがいわゆる加工ミスによるものであればさほど問題ではないかもしれないのだが、そうではないため何とかしたいという状況ではあった。 そちらのほうも原因を突き止めるために徹底的に調べてみた。

問題の原因となっていたものの一つにフレーム冶具があった。Seven で使用されているフレーム冶具はすでに10年が経ち、大したメンテナンスなしで酷使され続けていた。各部はすり減って、ガタガタ状態。こんな冶具で正確にセッティングができるのだろうかと疑問にさえ思ったくらいである。そういった内容も含め、レポートにまとめて提出した。



その後いくつかは改善されたが、フレーム冶具だけはメンテナンスはされたもののいまだに使用し続けている。Seven を離れるまでに新しい冶具の必要性をティムとともに何度か訴えてはきたが実現はできなかった。
確かにSeven のような規模の会社になると、生産量が個人レベルの工房とは大きく異なるのでいわゆるSputnik やAnvil といった精度の高い冶具はセッティングに時間がかかりすぎて向かないのは理解できる。ある程度の精度で、かつセッティングがスピーディにできるものが必要だということなのだろう。

Seven でのこういったプロダクションシステム、プロセス改善についてかかわれたこと、それに伴って自分でもある程度研究できたことは、今後の自分のハンドビルドのフレーム製作スタイル、ハンドメイドによるフレームとはどうあることが良いのかなどを考えるための良い機会となったことは確かであり、また経験させてもらったことに今となっては感謝している。おかげでSeven のプロダクションに関してはほぼ隅々まで知ることもできた。

プロセスインプルーブメントに関するSeven での体験はその何年か後のペイントデパートメントで終了することとなる。それは次回。

つづく。。。

November 21, 2014

Ti Disk CX with another logo








Ti disk CX with another new type logo. You can choose one of them.
新たに追加されたNew タイプのロゴでアナダイズドされたチタンディスクCX.
以下の3種類から選択可。



November 20, 2014

Builder's life 7

Builder's life 7/ process improvement

溶接三昧の日々が続いて、かれこれ3年ほどたったある日のこと。
マネジャーからいくつかのリスポンシビリティーを言い渡された。

その中にリペアフレームのマネージメントと生産工程の改善(プロセスの面とプロダクツの面の両方)があった。今日はその2点についての自分の体験である。

なぜ自分にその責任がきたかといえば、Sevenでの生産プロセスを一通り経験して知っているのが自分だけだったことが理由の一つである。マネジャー自身もマシーニングと仕上げの経験はあるが溶接はよく知らない。突っ込んだ見解には限界があるというのもあったのかもしれない。

まずリペアフレームに関してであるが、Seven では年間1500台前後フレーム生産している。そうすると戻り(不具合や再仕上など)のフレームもそれなりにあった。実質、リペアフレーム用のラックが0になることはまれなくらいであった。
要するに自分の責任は、そのリペアフレームが入ってきてから期日内にシッピングするまでをマネージしろということであった。

最初はあまり気が進まなかったが、しかし考えてみればSeven のフレームの実際的な場面での欠点や改良すべき点が詳細に見れるのではないかと思い、逆にやる気で引き受けた。
当時、リペアフレームで一番多かったのはMTB のダウンチューブとヘッドチューブ の間に溶接されたガセットとダウンチューブとの溶接部分にクラックが入ったものであった。フレームが適度にしなろうとしているのに対し、剛性を上げようとガセットをHT とDT の間にかませるため使用し続けて無理が生じ最終的にクラックが入るといった具合である。これはかなり多かった。(*現在はガセットの使用はしていない)
リペア方法としてはDT とHT をカットし、リプレイスするという具合である。
その他、カーボンとチタン混合のフレームの接着不良や使用年数が原因で劣化による不具合、錆びによる劣化や穴が開く(スティール)、クラッシュ、製作ミスによるカスタマーからのクレームなどなどであった。

こういった不具合のあるフレームをそれぞれインスペクションし、原因を突きとめ、どう対処するか、リペアにかかる所要時間はどのくらいか、また通常の新規フレーム製作の流れの中でどのタイミングでリペア作業を行うか、そしてそれらの指示書を作成し、いつ誰に指示を出してリペア作業をやってもらうかなど、シッピング期日から逆算して計画をたてマネージメントに臨んだ。 時には計画通りにいかない場合も当然あった。そんな場合は自分でそのすべての工程をこなしていた。もちろんこのマネージメントは普段の溶接ノルマを消化しながらである。最終的に約1年近く続けた。

しかしながらこの経験は非常に自分にとって良かったと思っている。まわりの人たちはあまり気を留めないことだが、実際のリペアフレームを通してチタンとスティールの素材でフレームを作る場合の限界線ややってはいけないこと細心の注意を払わなければならないことなどを個人的に学ぶことができた。ここでの経験は今の自分のフレームつくりにも役立っている。

次に生産プロセスの改善についてだが、Seven はトヨタ生産方式をベースに生産プロセスをビルドしていた。個人的に生産プロセスについてはトヨタ生産方式をはじめいろいろと研究していたのでSeven のそういった生産プロセスに関するフィロソフィーもすぐに理解できたのも事実である。

そういったものと実際の現場を通してそれらがどのように機能しているのかを観察しながら、具体的な改善方法やその可能性についてなど考える日が続いた。
しばらくSeven の生産方式と実際のワーカー達の働き方を観察していると、少しづつ問題点など見えるようになってきた。
例えばその一つに、ミステイクの発生の仕方とその度合いである。そしてその原因について考えてみるとよりはっきりと浮かび上がってきた。
例えばトヨタプロダクションシステムの根本理念の一つは、それぞれ異なるデパートメントで仕事をしているワーカー同士が協力し合い、時にはクロスセクションでも機能できるという働き方にある。お互いの仕事を理解することで、協力的な仕事ができるだけでなくミステイクも最小限におさえることができる。しかしSeven ではそれぞれで分業はしているがお互いがクロスすることはなく完全縦割り(この部分はアメリカ式)分業方式であった。隣で行っている仕事についてはよく知らないといった具合である。だから例えば最初のほうで一度ミステイクが起きてしまうと最後まで誰も気づかないでプロダクツが流れてしまう。仮に最後に気づいた場合、ヘビーなやり直し(一から)になってしまう。。。

こういったことを改善するための手段やワーカーの働き方、チームワークについて、また新しいワーカーが入った際のトレーニング内容の範囲についてなどを最終的にレポートとしてまとめて提出した。

以下の写真はレポートの一部


これらの発案が受け入れられるかどうかは分からなかった。しかしその約半年後、発案のいくつかが実際に機能し始めた。
このリペアフレームのマネージメントとプロセス改善の責任を機にさらにいくつかのプロセス改善や問題解決の仕事が追加されることになるのだが、それらに関しては、、、次回。

つづく。。。



November 18, 2014

Y's Ti disk road












Y's Ti disk road. Internal brake routing, Di2.

Y さんのチタンディスクロード。Di2、インターナルブレーキルーティング仕様。

November 17, 2014

Builder's life 6




Builder's life 6/ ウェルダーになる。

真面目な(この辺が日本人の得意な点やね。絶対お前らには負けへんで、的な。。。笑)練習の成果もあって、マシーニングをしながら仮つけを始め、ステムの溶接へと順調に進んでいった。
順調に、、、と書いたが失敗もあった。仮つけを始めて間もないころ、カーボン/ チタン混合フレームの仮つけで、シートラグがずれた状態でつけてしまい他のウェルダーが気づかずそのまま溶接してしまった(そのウェルダーに、溶接する前に確認せえよ!と言いたいところだが、もとは自分がずれてつけてしまったので何とも言えない。)とか、ガスの流し忘れでチューブをおじゃんにしてしまったり。。。とそれなりに失敗はあった。

そしていよいよ、1本目のフレームの溶接を開始!という際、あんなに練習していたはずがなぜか手がブルッた。。。理由は単純で、今目の前にあるのはリアルなフレームで$3500である。このフレームのオーナーになる人がそれだけの大金を払っているわけである。しかも自分がそれを溶接すると考えてしまうと、、、ブルッてしまった。。。
チューブのザグりをしていた時と”責任”という重圧度がまるで違った。
結局その1本のフレーム(ロード)を溶接するのに1日半かかった。その後も1ヶ月くらいはそんな感じでやたら時間がかかった。練習の時ととる姿勢などがまるで異なるのも時間がかかる理由の一つだったが、何よりSeven のウェルダーとしての責任の重圧度がきつかった。
(実際、Seven で最も価値の高いポジションでもある。自分がウェルダーをしていた約7年の間に何人もの溶接経験者がそのポジションを得ようと試験を受けに来たが、新しいウェルダーを迎えることはなかった。辞める半年ほど前には元ご近所さんの某有名ハンドメイドブランドの現役ウェルダーも試験を受けにきていたが、その後再びSeven のウェルダーブースで会うことはなかった。)

そんなこんなで重圧と格闘し、冷や汗流しながらも(笑)Seven の溶接クオリティー基準を何とかクリアしながらひたすらに溶接する日々がしばらくつづいた。

少し溶接に慣れてきたそんなある日、ショッキングな出来事が起こった。あるカスタマーが自分が溶接したフレームを気に入らないと突き返してきたのだった。さすがにショックだったのでヘッドウェルダーのTim に相談し、しばらくフレームの溶接をストップしてステム溶接をしていたほうがよいのではないかと訪ねたのだが、、、彼曰く、”いや、続けるほうがいい、今ストップしてステムに移行することは、それは後退することになる。どんどん前へ進めたほうがいいよ、君は絶対いいウェルダーになれる。”と、想像していた返答と真逆でちょっと面食らったがさらに進める意欲をもらった。
(*このTim とは練習のときから辞めるまでのあいだ本当によく溶接を通して話や相談をしてきた。自分がSeven を離れると話した時は、少し目を潤ませて ”それを聞いて残念で悲しいよ、君が適任だったのに。” と言ってくれた時には自分もすごくうれしかった。)

そんな溶接三昧の日々がとりあえず3年ほど続くことになる。と、そんなある日、マネジャーから新たな仕事を追加されることとなる。

つづく。。。


November 16, 2014

KUALIS Ti road in Thai


Amazing gravel travel with KUALIS Ti road bike in Thailand by Warren To from Hong Kong.

グラべルもこんな状況を走るとなるとすごいね。Hong Kong のWarren To さんがタイをKUALIS チタンロードバイクでツーリング中。

November 14, 2014

Builder's life 5


Photo by Jon Henig, 9/2007

Builder's life 5. Start to work at Seven.

しばらく放置していたBuilder's life の話の続きを再開する。(KUALIS CYCLESを始めた今となっては、いまさら感がないこともないが。。。) とにかくすべて事実、ありのままに書きます。

Level (松田自転車工場)で4年ちょっと仕事をしたのち、海外で自転車つくりをすることを決断し最終的にアメリカ、ボストン郊外にあるSeven でスタート(5/2007)することとなった。
Seven に入って最初のポジションはマシーニスト(機械加工)であった。
ジオメトリーの寸法に従いチューブをカットし、ザグりを行いフレーム冶具にセットして確認しウェルダーに渡す、といった仕事の繰り返しであった。毎回異なったジオメトリー、異なる車種なのでカットもザグりも使用されるチューブの種類も当然一台一台異なった。

以前の自分の仕事が建築設計だったこともあり、図面を見て理解することは問題なく、というよりむしろ他のワーカーよりも理解が速かったと思う。(後にウェルダーになってからも図面は必ずすべてチェックしていた。SEVENに入ってから 離れるまでに見てきた数はざっと5000 台ほどになるだろうか。面白いことに、たとえば最初からウェルダーやフィニッシャーとして働いているワーカーたちは、基本的に自分の仕事に必要な部分しか見ない。ましてや1台1台ジオメトリーがどう違うとか、どういったチューブが選択されているなど気にもかけないのが普通だった。アメリカらしい完全縦割り分業スタイルであった。)

もう一つ、Seven に入って一日目からつづけていることがあった。それはTig 溶接の練習である。
一通り自転車つくりの過程を学んでいた自分にとって、溶接がいかに重要で最も品質に影響するプロセスであることをすでに知っていたこともあり、Seven では絶対チタン、スティールともにTig 溶接をマスターしたいという1番の目的があったからである。

朝仕事の前に必ず毎日練習をする。当時、他にも溶接に興味をもったワーカーが何人か居り、たまに気が向いたときに練習していたようであったが、その時の練習していたワーカー達はもれなく全員ウェルダーになるまでには至らなかった。
身になる練習とは、たとえ短い時間であっても毎日欠かさずすること、またそうすることが修得の近道であるという考えが自分の中にはあったのでとにかく例外なく毎日続けた。(結局、ウェルダーになるまで1日も練習を欠かしたことはなかった。おかげで、過去Seven で練習を積んだ後にウェルダーになったものの中で、最速でウェルダーになれた。)

Seven では、日本で働いていたときと異なりバイクの制作数が圧倒的に多く(しかもすべてオーダー車)目的をしっかり持って仕事に臨めば様々なことが、集中的にかつ密度の濃い状態で学べることを知った。

つづく。。。